プロデューサー兼総合演出・加地倫三自身も、危機感を感じたことがあるらしいが、それでも「あと2年は大丈夫」らしい。
毎回企画を変え、それに合わせた芸人を選択する。それだけも大変なことだと感じるが、それ以上に「2年」は持つということは100個ぐらいはオンエアできる企画があるということだ。
最近は、『ロンドンハーツ』でもネットで若手芸人をオーディションしながらも取れるだけの収益を上げるだけでなく、コンテンツの輸出や、15分前倒しして放送を開始したりするなど、「テレビ朝日のマーケティングの傀儡」と言われかねない状況だが、番組の内容を見てしまうと「テレビ番組の今後を模索する革新者」と表現する方が適切だと素直に思えてしまう。
そう思わせるのは彼の一貫したブレない番組作りにある。視聴率を気にはしても最後の決定要素は「面白いかどうか」。スティーブ・ジョブズもスタンフォード大学の卒業式での講演で「信じる」ことに重きを置いている。それがカルトであろうと構わないと言及し、最後は自分が衝動的にできなければ何事も成し遂げられないと述べている。
彼の周りの評価は賛否両論だ。意固地で融通効かない性格でも、それがきちんと達成されるモノであれば賛同を周りはせざるを得ない結果がついてくる。彼が産み出した製品の成功が証拠である。
フルポンの村上が『痛い人』と加地を形容したが、それはそれで正しい。彼が担当した企画にも『内村プロデュース』での「夢の回」のようなボツ企画もある。当時はそうであっても、後になればそれが神格化され、成功への評価として語り継がれる。
面白いことに、評価される人・物ほど、当時ボツと呼ばれるコンテンツがある。でも異なるのは、一貫性であったり、それまで従事した先輩から得たものをしっかり自分の糧として咀嚼しているところで、結果、過去をどう生きてきたかが重要であるということ。未来は誰にも分からない。だからこそ、強引にでも何か譲れない、ジョブズで言う「信じる」ところを頑なに持てるかどうか。
今やテレビでの先駆者として立っている以上、あらゆる非難が振り続けるだろうが、よっぽどの反社会性を帯びない限り、彼は後世に美談のみが咲き誇っているだろう。
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