ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!(祝)放送23周年目突入記念DVD 永久保存版⑰(罰)絶対に笑ってはいけないスパイ24時 初回限定版(本編ディスク4枚組+特典ディスク1枚) [DVD]
今年も日本テレビ系は『絶対に笑ってはいけない空港24時!』と『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで』が放送される。6年連続、6時間、VTRで年またぎと、年末の恒例となってきた。
最初は警察シリーズだが、この時、「VTRで年またぎ」というのは非常に革新的な試みであった。初めて見た時は「時報ぐらいなるだろう」と思って見ていたが、時刻を知らせることもなく淡々と番組が進行していき、結果、時報も鳴らず、気づけば10分ほど年が明けているという異様な感じだった。だが、それほどこの番組には吸い付けられる笑いの世界があり、番組を作ったスタッフの素晴らしさは尊敬に値する。これこそお笑い番組である。
この企画は恐ろしい。なぜなら何が何でも笑わせなければならない。そこには、笑いのテクニック、論理は時には度外視し、とにかく視聴者を笑わせ続けなければならない。最初は、ガキの使いのメンバーを笑わせられれば良かったのだが、今では、国民を相手にしなければいけない。
国民を相手にするには、その年の事件、世相、といった日本人が日頃から受けてきた『笑いのツボ』を把握していなければできない。去年は石破茂元防衛大臣とジミー大西が国防について議論(?)したが、時の首相の菅直人をジミー大西が「カンチョクト」と呼び、夫婦の関係を「仮面夫婦」と揶揄したところは、読売新聞が関わっているからまだ許せるネタかもしれないが、石破茂は絶句した。だが、国民は首相の怠慢さ、能力の稚拙さを感じていたので、笑いのポイントとしてはズレてはいない。まさかの政治ネタで笑いを表現したところは、スタッフ側の笑いへの飽くなき挑戦が見える。
今のバラエティはスポンサーや政治には触れない。だが、「おかしい」ところは「可笑しい」わけで、だから笑える。お笑い芸人も劇場ネタでは堂々と世相を切って笑いにしていた。ビートたけしも劇場ネタは放送できないほどのネタを披露していたからこそ今の芸風、地位が確立された。
今年なら、『しゃべくり007』のオリエンタルラジオ藤森慎吾が「ギリギリ007」において過去の恋愛ネタを暴露し、その後仕事が増えた。またフジテレビの『27時間テレビ』でも矢部浩之の100kmマラソンではライバル会社のTBSの敷地内を走り、『こち亀』の宣伝を行うところは非常に面白かった。最近は、矢部をいじる時はTBSの映像が普通に入ってくる始末でTBS側が返す策が出てきていない状況。せっかくTBSでナイナイがレギュラー番組始めたが、あまりそこはつついていない。舞台が出来上がっているにも関わらず。そんなことだから『ジャパーン47chスーパー!』が3%切るんだと言われる。
最近の笑いは、タブーや後にややこしい事態になるようなことが好まれる。笑いと放送局側の問題は別であるが、現実的には不可能である。そこに斬り込むからこそ面白い。
この番組にはどうしても期待してしまう。回を重ね、ネタがなくなってきているのは番組としては宿命だが、この番組は『笑ってはいけない』ため視聴者側も構えて見ている。この緊張感極まりない状況でどういう笑いを生み出せるかが、今後のバラエテイ、お笑い番組の方向性を示す光になると思う。政治ネタにしても笑いという成功例を生み出すことで、タブーへの挑戦の仕方がわかっている。それができる状況にあるし、それができる人間がいる。もっと面白いこと、良いとわかっていてもできないことは他の仕事でもある。そこを打ち破ることで、当事者には背中を押される気持ちになるし、それができるような土壌をさりげなく作ってくれている。
ダウンタウンとしても数字が取れない状況が長引いている。彼らを活かす企画がわからないとは言えない状況になっている。彼らには『ガキの使い』で笑いを作る方が向いていると思う。『ごっつええ感じ』と同様に作り手兼演者だから彼らがカリスマになった。二人が直接的にはこの企画には加わらないが、ベースはレギュラーから生まれているので、これがダメとなると、また不要論が紙面で踊りだすだろう。
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